堤大介のブログ - 朝ぼらけタイガー

NPOなど公益組織のコンサルタント。NPO関連の話題の他、読んだ本のレビューなどを書きます。

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ファスティングで健康で文化的で持続可能な生活を手に入れた話

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4月の頭からファスティング(断食)に挑戦しました

 

ミネラルファスティング

ファスティングにも色々やり方があるそうなのですが、私が挑戦したのはミネラルファスティングというもの。


酵素ドリンクで最低限の栄養やエネルギーを摂取しながら行う安全なファスティングと言われています。

 

酵素ドリンクやその他必要なグッズ一式と、ファスティング進め方や伴走などもろもろ全部含めてトレーナーの清輔まゆりさんにお願いしました。


すでに周囲の知り合いが大勢まゆりさんの指導の下で成功していたので、不安も迷いもなくお願いすることに。

 

なぜファスティングをやったのか?

一言でいえば身体の調子を良くしたかったから。

 

楽天を辞めてNPOコンサルとしてソーシャルセクターにフルコミットした2年の間に、私の身体はボロボロになってました。

 

  • 体重が約10kg増える
  • 食生活が壊滅的。転職前は昼は楽天の(無料の)社員食堂で野菜をたっぷり、夜は自炊が基本だった生活から外食中心、食事の時間もマチマチ。
  • ストレスが溜まると暴飲暴食
  • 睡眠時間が慢性的に少ない。徹夜も月に数度。
  • たまーに予定のない日にまとめて寝ても疲れが取れない。まさに睡眠負債
  • 風邪を引きやすくなった
  • 趣味のランニングをする余裕もなく、たまに走ってもすぐにバテる。(それでも2017年は東京マラソン出たんですけどね。。)
  • 子どもの頃から指の一部にしか出ていなかったアトピー?の範囲が広がる
  • お腹が慢性的にゆるくなった

 

いやもう改めて書き出してみるとなかなか酷いです。
自分でよくがんばったなと思う。

 

その分得難い経験をしたのは誰より自分が分かっていて、上の不健康具合の羅列を見たら一体何が良かったの?という感じですけど、それでもこの2年に後悔はないわけです。

 

とはいえ、これではまったくもって持続可能ではない
社会の持続可能性やハッピーに寄与したくて仕事してるのに自分が持続不可能なのでは笑えません。

 

ということで、健康な身体になって、4月からの新生活を良い感じに過ごしていくためにファスティングに挑戦することに。


10kgも体重増えていたので、もちろん体重落とすことも目的だったのですが、体重自体はファスティングの短期間でどうにかするものではないと思っていました。

 

実はこの2年で10kg増えたのですが、その前楽天時代にもがっつり体重増えるという経験をしていました。


新卒で入社した1年目、慣れない仕事や生活リズム(当時残業も多くやはり食生活も運動も壊滅し暴飲暴食したということがあり)から、そのときも1年で10kg程太りました。

 

その後多少落ちることはあっても基本的に数年間高止まりしていたのですが、3年程前にがっつり自炊に切り替えていろいろな料理を作るようになり、ランニングの量も増やしたときに、特にダイエットをしていた意識はなかったのですが(実際食事制限などは一切してなかったです)、数ヶ月で8kg程落ちたということがありました。つまりこの2年間で増えた10kgというのはこのときせっかく落としたものを取り戻して余りある感じになったのですね。まったく酷い話だ。

 

で、この数ヶ月で8kg落ちた時期というのはとても身体の調子が良かった記憶があります。身体の調子も良かったからか、いろいろな活動も充実していた時期でした。

 

今回ファスティングにチャレンジしたのは、このときの調子の良さに短期間で突入できるのではないか?という期待があったから。


以前一度自分で経験してることなので、そのときの通りに自分でやれればいいのですが、意思も強くないし、忙しい生活の中でまったくできる気がしませんでした。それに、最近の身体の調子の悪さははっきりいって深刻なレベルになってきていたので、ここで一度しっかりリセットしたいということ。そして、身体の調子を整える方法をしっかり知識と体感と両方でしっかり学びたかったこと。

 

そんなような理由からの挑戦となりました。

 

ファスティングに関してよく聞かれた質問

まず、ファスティング前後でいろいろ質問を受けることが多かったので、よくある質問コーナーから。

 

お腹は減らないのか?

そんなに減りません。後で書きますが、ファスティング前に準備期間があるのですが、その時はそれなりの空腹感がありました。が、いざ実際の断食期に入るとほとんどお腹は減りませんでした。


一日に数回飲む酵素ドリンクでかなり満腹感がありますし、たまに空腹を感じても、専用の塩(ヒマラヤソルト)を舐めると一瞬で収まりました。


空腹によるツラさは一切感じず、こんなに楽で良いのだろうか、という感じでした。
むしろ4日目、5日目ともなると、もはやこのまま食べなくてもどこまでもいけるんじゃないかという気になり食べるっていったいなんだろう、という気分になる程でした。

 

仕事はできるのか?

できます。私は転職と同時にファスティングに挑戦という無茶なスケジュールでしたが、問題ありませんでした。


断食期も木、金、月と平日に3日間かぶりましたが、その間も通常通り仕事してました。

 

ご飯食べる時間や、ご飯の準備の時間がないので仕事できる時間はむしろ増えます。特に後半戦は集中力も増します。

 

どんな良いことがあるの?

身体中がキレイになります。私の感覚としては中も外も身体中のむくみがとれたような感覚。疲れも取れ、頭もすっきりしています。

 

痩せるのか?

食べないので当然ですが、体重も落ちます。私の場合は回復期までのトータルで4kg程落ちました。


同じ5日間の断食で5kg以上落ちたという知り合いもいたので内心もう少し落ちることも多少期待していましたが、数年前同様の体重落ちるモードには目的通り突入できているようなのでここからもう少し落としていければと思っています。

 

ファスティング期間の振り返り

続いてファスティング期間中の振り返りです。

 

準備期〜減食期(4/1〜4/4)

準備期というのは、ファスティングに入る前に身体によいものだけを食べて腸内環境を整えてファスティングに備える期間。
食べるべき食材はそれぞれの頭文字をとって「まごわくやしい」と教わりました。

 

ま…豆類
ご…ごま、ナッツ類など
わ…わかめ。海藻類
く…果物
や…野菜
し…しいたけ。きのこ類
い…いも

 

わりと色々食べて良いですよね。


ちなみに、普段の食生活もほぼこれと同様の「まごわやさしい」(果物は野菜に含め、代わりに魚の「さ」が入る)を中心とした食生活を普段から意識するのが大事、とのこと。分かりやすく言ってしまえば和食、ですね。

 

逆に食べてはいけないものは何かというと、お米や小麦粉、そして肉、魚。乳製品などの動物性のものも。あとお砂糖も取りません。砂糖以外の調味料、塩や醤油、そしてドレッシングなどは量に気をつけながらですが、採っていました。

 

こうした食事を準備期の間はお腹いっぱい食べます。私の場合はこの期間が2日間。(普段の食生活によってもう少し長い場合もあるとのこと)

 

その後、2日間の減食期。採る食材は同じですが、量を減らしていきます。

 

この準備期、減食期の間は多少空腹を感じることがありましたが、どうしてもお腹が減ったときは先生のアドバイスによりナッツかドライフルーツを食べていました。

 

いろいろ食べて良い食材が多いのですが、ただ、それは自炊をする場合に限ります。
外食でこれらだけの食事、となるとけっこう困ります。うまいことサラダランチなどがある店があれば良いですけど、サラダランチでも注意しないと小麦粉製品だったり、生ハムだったり色々しれっと忍び込んできたりしますので要注意。

 

この期間は体重の変化はありませんでした。

 

断食期(4/5〜4/9)

いよいよ断食に突入。私は5日間のコースでしたが、もっと長いコースもあります。

 

基本的に酵素ドリンクのみですが、その他に指定されたサプリと、1日1〜2粒の梅干しを摂取していました。あと水を1日2リットル以上。その他、ルイボスティーなどノンカフェインのお茶はOK。

 

朝起きたら白湯と一緒に梅干しを。


あとは、朝のうちにまとめて作った酵素ドリンクを一定時間ごとに分けて飲んでいきます。(ドリンクをまとめて持ち運ぶのがけっこう大変)


たまに空腹を感じたときは塩(ヒマラヤのマグマソルト)を舐めます。ゆでたまごの味がして一瞬で空腹感がおさまります。

 

初日や2日目に眠気を感じたり、頭痛がする場合があるという話も聞いていたのですが、私の場合は身体の不調はまったく起こらず、1日目からスムーズに断食に突入できました。


1日目の夜ぐらいまではさすがにまだ不安もあり、「明日の朝起きたらめちゃめちゃお腹へってるんじゃないだろうか」と考えたりもしましたが、実際にはそんなことも起こらず2日目以降もとても順調でした。

 

毎日まゆりさんから身体の中で起こっている変化についての解説も届くので、その変化をなんとなく想像したり感じ取ったりすることを楽しみながらゆったりとファスティング期間が過ぎていきました。

 

ドリンクに関してはけっこうな量があるので、しっかりアラームをセットしていないとすぐ飲み忘れ、飲みきれなくなってしまいます。2日目からは事前にアラームをセットして定期的な摂取ができました。

 

3日目からは土日だったので、多少運動もしました。(軽めのランニングと散歩)
運動についてはしてはいけないと言われる場合もあるそうなので、トレーナーの指示に従ってください。

 

この期間に体重3kg落ちました。

 

回復期(4/10〜4/14)

酵素ドリンクではなく普通の食べ物を摂取していきます。減食期、準備期を逆に進めていく感じ。

 

断食期から身体の調子が良くなっている実感がありましたが、食べ物を食べるとさら元気が出ます。この2年で間違いなく一番体調が良い!

 

お米などを食べるのがむしろ怖くなってしまい採っていなかったのですが、先生のアドバイスにより少しずつ米も採るようにしました。米採るとやっぱりエネルギー出ます。

 

この期間は当初1kg戻りましたが、その後減少モードに入り、結局この期間にもさらに1kg減で、トータル4kg減で終了。

 

ファスティング明け後1週間経過

ファスティングが完全に明けてさらに1週間が経ちました。

その後、人と食事をする機会などもあり、ピザを食べたりお酒を飲んだりもしましたが、いまのところ体重の増加はありません。


もちろん増減はあるのですが、すぐに減少モードに戻すのを自分でコントロールできる感覚です。

 

空腹に対しての怖さがなくなり、お腹が減ったと感じても冷静に摂取するタイミングや食材を選択できるようになったのが自分で心強いです。この状態をなるべく長く維持していきたいですね。

 

冒頭に書いたボロボロだった状態がどうなったのか、改めて振り返ってみると、

  • 体重が約10kg増える

  →4kg落ちました。たぶんまだ落ちます。

  • 食生活が壊滅的。転職前は昼は楽天の(無料の)社員食堂で野菜をたっぷり、夜は自炊が基本だった生活から外食中心、食事の時間もマチマチ。

  →しっかりしたきっかけを得たことで自炊モードが復活しました。

  • ストレスが溜まると暴飲暴食

  →お酒は解禁しましたが暴飲暴食はしてません

  • 睡眠時間が慢性的に少ない。徹夜も月に数度。

  →これは仕事の環境が変わったことも大きいですが、生活リズム自体を整えようと奮闘中です

  • たまーに予定のない日にまとめて寝ても疲れが取れない。まさに睡眠負債

  →ずーっと感じていた身体のそこにこびりついていたような疲れがとれて快調です

  • 風邪を引きやすくなった

  →まだ分かりませんが、とにかく身体の調子は良いです。免疫力が高まるという話なので期待したいところ

  • 趣味のランニングをする余裕もなく、たまに走ってもすぐにバテる。(それでも2017年は東京マラソン出たんですけどね。。)

  →平日は走る時間取れませんが、土日はしっかり走れています。何より身体が軽く、ランニングの気持ちよさ50%増しぐらいです

  • 子どもの頃から指の一部にしか出ていなかったアトピー?の範囲が広がる

  →これに関してはとくに変化なし

  • お腹が慢性的にゆるくなった

  →驚くほどに調子良くなりました。元々お腹下しやすかったけど、さすがに最近のはやっぱり身体の調子がおかしかったのだなと実感しました。。


最後に

良いことばっかり書いてて、何か悪いことないの?と思われる方もいるかもしれませんが、実際デメリットは特にありません。

 

ただ、注意点は何点かあります。


いくら最低限の栄養を取っているとはいっても食事を採らないというのは身体にとっては異常事態であり、負担もかかります。自己流でのファスティングは危ないのでしっかりトレーナーについて実践した方が良いです。

 

また、終了後は栄養の吸収率が良い状態になっているので、暴飲暴食すれば当然リバウンドはします。


良い食事バランスや生活を意識したり、身体の調子を整えるためのテクニックの一つとして身につけておくと良いというものであって、それさえやればすべて解決するというものではないということですね。

 

とはいえこのスキルは一度身につければ一生使えるものです。(この後はグッズさえ手に入れたら自分でできるし、普段の食生活に関しての知識を身につけられた)ここ数年の自己投資の中で断トツでコスパの良いチャレンジになりました。オススメです。

株式会社STYZに転職しました。

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改めての報告が遅くなりましたが、今月より株式会社STYZで働いております。

 

楽天を辞めたのが2016年の4月。PubliCoでは2016年5月から2018年3月までの約2年間を過ごしました。たった2年だったとは思えないほどに濃く、充実したPubliCoでの日々の中から学んだことや考えたことも少しずつ言葉にしていけたらと思いますが、まずは新しいチャレンジの話を。

 

STYZはSyncableという非営利組織向けの決済・寄付プラットフォームを提供している会社です。その中で私は、Syncableのサービス開発に関わりながら、コンサルティング部門の立ち上げを行って参ります。

 

PubliCoという組織で揉まれ、働いた2年間で多くの皆さまと関わらせていただき、NPOコンサルタントとしてなんとかそれなりに成果を出せるところまでやってこれたと思っています。そしてこの2年間に、自分なりの支援スタイルや視点を磨きながら、同時にいくつかの問題意識も感じていました。今後はいままでの延長線上のコンサルティングの仕事に取り組みながら、特にその自分が感じていた問題意識にチャレンジするような動きをしていけたらと思っております。

 

今日は転職の挨拶というか報告記事なのですが、このNPOコンサルタントとして働く中で感じてきた問題意識を使って、なぜSTYZという会社でのチャレンジを選択したのかという部分を説明してみたいと思います。

 

 

問題意識①「Web・ITによる格差の拡大への危惧」

私は学生時代のボランティアや地域での活動から、今後のソーシャルセクターの活動にはWebやITの力がもっともっと必要になるだろうと考え、その力を身につけるべく新卒で楽天に入社しました。


そして、楽天に勤めながら取り組んだプロボノ活動やNPO立ち上げ経験を経て、PubliCoに転職していきました。

 

PubliCoでのご支援の中でもWebやITに関わるご要望は多く、自分自身の専門性を高めながらこの分野でもっと支援をしていきたいという思いを持っております。


ただ、それと同時に感じているのが、WebやITの利活用の状況には団体により大きな差があり、しかもその差は開いているのではないかということです。

 

本来、WebやITは地域や世代などさまざまな違いを超えて利便性を提供することで、格差や不平等などを解消していく側面があると思っています。


ただ、動きが早く次々に新しい機能や情報が出てくるWebやITを使いこなすことや、情報の入手にアンテナを貼ることも一種のリテラシーが必要となってしまっています。


その結果、WebやITの新しい恩恵を受けられる団体はどんどんと効率化され成果を出しやすくなり、そうではない団体との格差が広がっていくということが起こり始めています。(例えば、次々と流行の変わるSNSをいまどの程度活用できていますか?さらに、AIや仮想通貨、ブロックチェーンといった新しい技術にどこまでアンテナを貼ることができていますか?あるいはそれどころか、いまだに団体のHPがスマートフォンに対応していない、というようなことはありませんか?)

 

STYZが提供しているSyncableはITリテラシーがない方でも導入から運用までスムーズに利用できるよう配慮されております。


今後は私がPubliCoで培ったファンドレイジングの考え方や分析の視点などを管理画面に反映させていくことで、Syncableのサービスを活用することで自然とファンドレイジング戦略の立て方や分析の仕方までが自然と身についていくようなサービスを目指せればと思っております。

 

また、私が行うコンサルティングにおいても戦略立案だけではなく、寄付ツールや決済フォーム側の視点も取り入れることで戦略の実行までをより手厚く伴走していくことができると考えています。

 

問題意識②「無関心層への認知拡大や参加促進の難しさ」

多くの団体の皆さまとファンドレイジングをご一緒する中で、よく課題にあがるのが自団体への関心層をいかに広げるか?ということ。


さまざまな広報手段を駆使して自団体や取り組む社会課題の認知を広げていきますが、そもそも寄付や社会課題等に関心を示さない層へのアプローチは難しく、個別の団体からではない働きかけや、これまでにない巻き込み方を模索していく必要があるのではないかと考えています。

 

Syncableは非営利団体にとってはIT知識がなくとも使いやすく、コスト無しで使えるため導入もしやすいサービスですが、サービスとして団体側だけでなく、寄付をする個人に対しての視点を強く持っています。

 

フォームの使いやすさやデザインの他、バースデードネーションなど新たな寄付の仕方を提供しており、今後も新しい仕組みを作り出していくことで、これまで寄付やソーシャルアクションに関心のなかった層を巻き込んでいくことのできるサービスを目指しています。

 

コンサルティングにおいても、こうした新しい寄付の仕方をファンドレイジング戦略に取り入れたり、新たな寄付の仕方を利用団体の皆さまと一緒に考えていくセミナーや勉強会なども企画していけたらと思っております。

 

以上、長文となりましたが、今後も非営利セクターの支援者として自分を磨いてまいります。引き続き皆さまとさまざまな機会でご一緒できますと幸いです。

 

ちょっとSyncableのご紹介

syncable.biz


 ★クレジットカード決済が初期費用・月額利用料0円で導入できます。任意団体も登録可能です。
 ★決済手数料2.95%(クレジットカード会社へお渡しする分のみ)も業界最安値水準です。
 ★バースデードネーションやブランド品買取寄付、ビットコイン寄付(現在一時停止中)など新たな寄付の仕組みも続々追加!
 
コストをかけずに利用することができます※ので、NPOのみなさま、まずはぜひ登録して試してみてください!
※Syncableは提携している企業(現在だとブランド品買取寄付のBrandear)から料金をいただくモデルなので、NPOからは利用料金を一切いただきません

 

そして、コンサルティングや研修等のご依頼も受付中です!
Syncableの利用有無に関わらず、お気軽にご相談ください。

 

 

追伸:3月に結婚しました。ウェディングドネーション(お祝い金の寄付)実施中です。 

22minutes.hatenablog.com

 

結婚の報告と、ウェディングドネーション(お祝い金の寄付)のお願い

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【結婚のお知らせと、ウェディングドネーション(お祝い金の寄付)のお願い】
 
3月21日に婚姻届けを提出しました。
 
年明けぐらいから少しずつご報告はさせていただいておりましたが、 直接ご報告できない方々もたくさんいるので、こちらでご報告させていただきます。
 
そして、今回自分たちの結婚という機会を使って私とパートナーで挑戦しようと思っていることがあります。 少し長文になりますが、もし宜しければお読みいただけると嬉しいです。
 

■ウェディングドネーション

今回私たちが挑戦するのは「ウェディングドネーションです。結婚祝いとしていただいた金額を応援する団体へ寄付するという、個人が行うファンドレイジング(寄付集め)のキャンペーンです。

 
私たちは結婚に際して結婚披露宴やパーティーなど他にお祝いをいただく機会を設ける予定はございません。 私たちの結婚にお祝いの気持ちをいただける方、私たちの「こんな社会にしたい」という想いに共感いただける方、ぜひこの機会に寄付をお願いいたします!
 
いただいた金額は手数料を除き全額を寄付いたします。(寄付の仕方は後述します)
 
ちなみにウェディングドネーションは日本ではまだ実施している人が少ないですが、アメリカなどでは有名人含め実施する人が増えてきているようです。
 

■なんでドネーションキャンペーンをやるのか

私が個人としてファンドレイジングキャンペーンを行うのは、1年半ほど前に行った「東京マラソンチャリティランナー」としてのドネーションキャンペーンに続いて2回目です。
 
当時は「一人前の公益組織コンサルタントになること」を目標とし、「認定NPO法人育て上げネット」さんに寄付を行いました。 チャレンジ自体が公益組織コンサルとして実践の力をつけるトレーニングであり、自分がこの世界に入ったきっかけでもある「生きにくさを感じる子どもへの支援」に寄付を行うことで、この道を歩いて行く想いを新たにしました。
 
1年半経ったこの春、私が所属したPubliCoという会社は解散し(明日、弊社オフィスで最後の皆さまへのご挨拶の場を設けております。お時間ある方は五反田へぜひ!)、まさに私は公益組織のコンサルタントとして新たな歩みを始めることになります。いろいろな節目の重なるこの機会にウェディングドネーションの企画を提案してくれたパートナーにとても感謝をしています。
 
今回この取り組みをするにあたって改めてなぜやるのか?を考えました。
 
【「自分が欲しいと思える未来」を考え、伝えることの大切さを伝えたい】
 
NPOにとってVisionとは社会や地域にとってのあるべき未来を考えるということです。
 
では個人にとって寄付をするということや、自分の応援するNPOについて考えるという行為がどういうことかというと、「自分が欲しいと思える未来を考える」ことだと思います。
 
NPOの寄付集めはこのポジティブな体験を広げることですし、このポジティブな願いを共有する喜びはNPOの寄付担当者だけでなく、寄付をするもっと多くの個人が感じていけると良いなと思っています。
 
とはいえ、みんながみんな日々、寄付してください!と言い合うというのはイメージしにくいかもしれませんが、結婚とか誕生日というハレの日を「自分が欲しいと思える未来を考え、伝える」機会にしたり、友人や家族にハレの日のお祝いを贈るという行為が「その人が欲しい未来をプレゼントする」ことになるなら、ステキなことだと思いませんか?
 
折しも国政では民主主義の根幹を揺るがすような出来事が起こっていますが、結局のところ、一人ひとりが自分はどんな未来が欲しいのかを考えるということ以上に、民主主義とか自治の根っこはないのではないかとも思います。
 

LGBT団体の支援

さて、では今回私はどんな未来が欲しいと思っているのかというと、「"個人としての在り方"に寛容な社会」です。
 
そもそも私たちは結婚という制度を使うのかどうか、とても苦しみながら話し合いを重ねてきました。
 
名字を変えるということに伴うキャリアの断絶や、あまりに膨大でどこまでも煩雑な手続きを受け入れてまで結婚をするのか、そこにどんな意味があるのか。
 
なぜ日本では夫婦別姓が認められていないんだろう、と一体何百回考えたことでしょう。
いまサイボウズの青野さんが夫婦別姓に関する訴訟を起こしていますので、その結果を待とうか(最高裁まで行くのに何年かかるか分からないですが)なんていうことも考えました。
 
それでも最終的には二人で話し合って、制度的な結婚という選択をすることにしました。
 
どちらが姓を変えるか、お互いが感じている違和感や選びたい選択は何か、家族のこと、将来のこと。たくさんのことを話し合いました。
 
二人で人生を歩んでいくという決断を二人でできたことはとてもハッピーなことですが、制度やその他いろいろなことを含めた話し合いは、気持ちの良いものばかりではなかったのも事実です。
 
私たちと同じような葛藤を抱えているカップルは少なくないと思いますし、こうした個人としての在り方を寛容されない苦しみをもっと感じているのがLGBTの方たちだと思います。
 
私にも多くのLGBTの友人知人がいますが、日本では同性婚が認められていないことや、通称利用が認められない場面も多いことなどで、日々の中で一体どれだけの苦しみを感じているのだろう。
 
そして何よりそうした自分の違和感や葛藤を周囲に理解してもらえないことはどんなにつらいだろう。本当にやりきれない気持ちになります。
 
抱えている悩みや事情は一人ひとり違っており、簡単に理解することはできないのに、「なんでそんなことで悩むの?」とか「そんなの大した問題じゃないよね」と切り捨てられてしまうことは寂しい。お互いにもっと寛容であり、想像力を持てる社会になるといいと願っています。
 
そこで、今回のドネーションは、LGBTの方たちを支援している団体に寄付します。
寄付先の団体選びはパートナーにお願いし、選んでくれた団体に私も賛同しました。
(ので、PubliCoでの仕事とは関係ありません)
 
LGBTを含めたすべての子どもがありのままでオトナになれる社会」を目指し、学校現場や行政で出張授業を行うほか、LGBT就活生への支援にも力を入れています。
 
「性的マイノリティも含めたダイバーシティインクルージョンの実現」を目指し、LGBT等の性的マイノリティがいきいきと働ける職場づくり・社会づくりのために調査・講演活動、コンサルティング事業などを行っています。
 

■寄付の仕方

polcaという個人用クラウドファンディングのアプリを使って行います。
 
1.polca経由で寄付(推奨)
(1) VISAかMastersのクレジットカードをお持ちであることを確認してください。ない場合は,次の「2.Paypalを使った寄付」へ進んでください。
(2) お持ちのスマートフォンから、以下のリンクをクリックしてください。polcaのアプリのダウンロード画面が表示されますので,ダウンロードしてください。
(3)寄付金額を入力してください。
 
※polcaはスマホアプリのみのサービスです。お手数ですが、スマートフォンからお願いいたします。
 
2.Paypal経由で寄付
(1) PayPalで寄付をする旨とその金額,メールアドレスをメッセージでお知らせください。
(2) 金額に応じて個別にPaypalで決済用のURL(請求書という形になります)を発行し、メールで送らせていただきます。
PayPalをお使いいただくと,寄付していただいた金額から3.9%の手数料が引かれてしまいます。
 
3.手渡しももちろんOKです(^^)
※お預かりした金額を私たちがpolcaに入金させていただきます
 
【決済サービスの選定理由】 私が4月から関わるSyncableというサービスには実はバースデードネーションを実施するための機能があり、その機能を使うことも検討しました。が、今回は特定の1団体ではなく複数団体に寄付を行いたいと考えていて、Syncableのバースデードネーションは現在は特定の団体に対しての寄付を募る機能です。現状このニーズを満たすサービスは日本にはまだありません。今回選んだpolcaというサービスは一度自分たちが受け取り手になるという煩雑さがありますが、現状手数料無料ですので、全額寄付することができます。 また、Paypalについては対応クレジットカードを増やすという理由と、パートナーの友人に海外在住や日本語が読めない方が少なくないので、代替策として導入しています。
 
※期間や金額はpolcaの仕様に合わせています
 期間:2018年3月30日〜2018年4月29日
 募集金額:10万円(特に目標は設けていませんのでpolcaのキャンペーンで設定できる上限金額です。10万円を超えた場合30万円までが上限となっているようです)
 

■参考

 

2017年読んで面白かった本10冊

2018年が始まってあっという間に1月上旬も過ぎさってしまいそうですが、やっと新年初投稿です。今年も昨年読んだ本のまとめから。

 

昨年読んだ本のうちマーケティングなど仕事関連の実務本は除いて選びました。
全10冊のうち、前半8冊が小説以外の本。残りの2冊が小説です。


過去のまとめ 

22minutes.hatenablog.com

  

22minutes.hatenablog.com

 

22minutes.hatenablog.com

 

 

小説以外の本

まずは小説以外の本から。並べてみると今年は新書ばかりでした。考えてみれば時間なくて分厚い本避けがちだったなぁと反省。

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

 まず最初の1冊は『LIFE SHIFT』。もう説明不要というぐらいに有名になった本ですね。この本を読んだことがなくとも「人生100年時代」という言葉を聞いたことのある人は多くいらっしゃるのではないかと思いますが、この言葉は『LIFE SHIFT』の表紙にも抜き出されている本書の議論の前提となるキーワードです。少子高齢化を始めとする様々な社会課題が存在し、そしてAIやフィンテックを始めとする新たな技術革新がこれまでにない社会変化を起こす気配を感じさせている中で、自分自身はどう生きていくのか。将来をどう考え、いま行動していくのか。これを考えるのは簡単なことではありません。日本社会においては「働き方革命」が今年も引き続きキーワードになっていくと思いますが、単に社会や会社側の変化を待つだけでなく、自身が主体的にこの変化の中を生きていくためにどうするのか。最初の考える切っ掛けをくれるのに、出版から一年以上経ちましたがやはり今でもこの本が価値を持っていると思います。未読の人はぜひご一読を。

 

以下の記事にてレビューも書いております。

22minutes.hatenablog.com

100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート

100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート

100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート

 

 年初に『LIFE SHIFT』に続いて読んだ本。テーマ的にも『LIFE SHIFT』と地続きだと捉えています。「人生100年時代」に向けて「働き方革命」をというとどうしても「仕事」が先に来てしまいがちですが、仕事よりも先に考えるべきことがあります。この『100の基本』という本は生きる、生活する上での100のルールを定めようというものです。生活の上での100のルールとは、仕事とプライベートのどちらを優先すべきとかそのバランスをどうこうするかという話ではなく、そもそもその前提として自分自身が「どうありたいか」ということです。どんな人として日々を、時間を過ごしたいのか。周りの人とはどうか。そしてどんな仕事を、どんな風にしたいのか。一年の初めにまずはそんな自分なりの「100の基本」を考えてみるのも良いのではないでしょうか。

 

レビューはこちら。 

22minutes.hatenablog.com

 


子育て支援と経済成長

子育て支援と経済成長 (朝日新書)

子育て支援と経済成長 (朝日新書)

 

 昨年は面白い新書を何冊も読みました。気づけばこのリストも今年は新書が多い。なかなかページ数の多い本に手を出す暇がなかったということも理由ですが、実際に読んでよかったと思える新書が多かったのも確か。この本もそのうちの一冊です。テーマはタイトルの通りなのですが、単純な子育て支援施策についての分析ではなく、まさにタイトルの通り子育て支援を経済成長と絡めて分析しているという点が面白く、そして現実的な提言だとも感じるポイントです。著者の柴田さんは様々な社会政策の効果を経済効果の観点から分析している方で、本書については柴田さんの言葉を借りれば「子育て支援の『本来の目的についての効果』ではなく、子育て支援の『副次的な効果』について」分析を試みるものであり、それはどういうことかといえば子育て支援が社会全体に対してどのような経済効果を持ち、それが財政にどのような影響を与えるのかということです。結論は総論としてはタイトル通り「子育て支援政策は経済成長や財政の改善に効果がある」ということなのですが、産休育休制度の充実、保育環境の整備、現金給付などさまざまな政策の中でどれが効果があるのか、そして他の分野への投資と比べて子育て支援は効率的な政策なのか、様々な観点から分析されており読み応えがあります。


ルポ 児童相談所: 一時保護所から考える子ども支援

 子育て支援につづいて子ども支援に関するテーマの本。児童相談所という施設の名称については多くの方がご存知だと思いますが、その役割までご存知の方は少ないのではないでしょうか。その名称は児童に関する相談にのってくれる施設ということですが、分かりやすくいえば児童虐待などの通告を受け、通告に対する対応やその後の子どもや親とのコミュニケーションやフォローをする施設です。本書で深く扱われている一時保護所というのは虐待等を受け保護された子どもたちが、家庭に戻ることができるのか、できないのであれば里親家庭か児童養護施設乳児院かどの場所で養育することになるのかを判断している期間に一時的に子どもたちを保護する場所のことで、児童相談所内にあります。本書は複数の一時保護所への住み込みやインタビュー、そして一時保護所での生活を経験した子どもたちへのインタビューなど丁寧な取材を元にして書かれた貴重な本です。児童相談所についてその役割を知っている方は少ないでしょうと書きましたが、実は子ども支援に関わる業界の人でも児童相談所の実態については知らないことが多いのです。乱暴に中身を紹介するとすれば、良い児童相談所と悪い児童相談所があるということ。その差を生む本質な違いは何か。そして、差をなくしていくためにできることは何かということが書かれています。子ども食堂などで子ども支援に関わる人は今年も増えていくかと思いますが、多くの方にぜひ読んで欲しい本です。

 

レビューはこちら。

22minutes.hatenablog.com

 

縮小ニッポンの衝撃 

縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)

縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)

 

 2016年9月に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」の取材班が、取材対象地域に番組時点よりもさらに踏み込んだ取材を重ねてその内容をまとめた本。少子高齢化が進むことで私たちの住む地域は、暮らしは一体どのようになるのか」をこれ以上ないリアルさで伝えています。なぜなら、すでにそれが現在の話となっている地域が日本にはたくさんあるから。そしてこのまま行けば日本中例外なく私たちの地域や暮らしは「縮小」したり、あるいは「消滅」したりする。本書では東京のとある区も「消滅可能性都市」として取り上げられています。たとえ東京でも他人事ではないということ。少子高齢化というのは日本人であれば誰でも知っている言葉です。私は現在31歳ですが、小学校の教科書にはすでに載っていたように思います。ただ、ずっと警告され続けているにもかかわらず、私たちの日々の暮らしはそんなには変わらないじゃないか、というのが少なくない市民の感情ではないかと思います。それでも少子高齢化は、それによる過疎化は、地域の・日本の財政の悪化は確実に日々の生活を蝕んでいきます。私はいまNPOコンサルタントとして働いており、日々社会課題の解決のために取り組む人たちと仕事をしていますが、改めて日本社会がいまどこにいて、このままだとどこに向かっていこうとしているのか。それに対して自分はなぜ今の仕事をしたいと思っているのか。改めて足元を確認する本となりました。

 

レビューはこちら。

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分解するイギリス 

分解するイギリス: 民主主義モデルの漂流 (ちくま新書 1262)

分解するイギリス: 民主主義モデルの漂流 (ちくま新書 1262)

 

 続いての本は視点を世界に移し、イギリス政治についての本です。2016年に国民投票によりEUからの離脱を決めたイギリス。アメリカ大統領選の結果に続けて世界に衝撃が走ったニュースでした。本書はイギリスの歴史や、社会経済の変化からなぜイギリスが「分解」し、「EU離脱」という結果につながったのかを分析します。イギリス政治とは長らく日本政治にとって手本となるものだったと筆者はいいます。これまでの小選挙区制の導入や首相のリーダーシップ強化などの政治制度改革における大きな方向性として「政権交代のある健全な競争」を機能させようというものがありましたが、イギリスはその重要なモデルだったといいます。ただ、その「モデル」たるイギリス政治の根幹である「合意と多数決」を形作ってきた各種制度が変容し分解してきたことによって、イギリスの合意と多数決が十分に機能しなくなった結果、民意の漏れが起こっている。イギリスのEU離脱にしろ、アメリカ大統領選挙にしろ、ポイントとなるのは「民意の漏れ」です。もちろん日本も。複雑化した社会の中で民意をいかに汲み取るかというのは簡単なことではありませんが、今後政治システムが民意を反映するように最適化していくことができるのかは大切な点であり、だからこそ本書で分析される「なぜ民意の漏れが起こったのか」については知り、考える価値があります。

 


人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊

 AI関連では今まで読んだ本の中で一番面白かった。副題が「2030年の雇用大崩壊」とされていますが、単に「人工知能によって仕事を奪われる」という危機感を煽るだけの本ではありません。人工知能の発達にはどのような方向性があり、それぞれの特徴や可能性を丁寧に解説した上で、それぞれが社会に及ぼす影響をマクロ経済の視点から紐解き、最後にはベーシックインカム制度の導入を提言しています。主題の方で「経済の未来」と冠されていますが、人工知能による社会の変革は、紀元前一万年前から始まった「定住革命」、蒸気機関や工場生産の発明の「第一次産業革命」、電気や石油、化学技術による革新の「第二次産業革命」、インターネット・通信技術の革新による「第三次産業革命」に続く第四次産業革命になりうるものであるとしますが、この解説が素晴らしく分かりやすかった。経済全体のインプットを「機械」と「労働」に分けてそれによる「生産活動」が行われる。その結果アウトプットとしての生産物が生まれ、それを消費したり再生産のための投資とする。このとき技術というのは生産活動の効率性を上げるものである。こうして要素を分解していった際に、これまでの産業革命によってインプット・アウトプットにどのような変化があり、今後人工知能によりどう変化するのか。議論を非常に簡潔にしながらも言葉が丁寧で、センシティブな内容であるからこそ読者への配慮も感じるとても良い本でした。


かかわり方のまなび方: ワークショップとファシリテーションの現場から

西村佳哲さんの本。2017年には前作である『自分をいかして生きる』も再読しましたが、この本はまだ手にとっていませんでした。初めて西村さんの本を読んだのは就活のときで、『自分をいかして生きる』を読んだのは社会人一年目でした。その後発売された今作については、「ワークショップ」や「ファシリテーション」というキーワードがあまり当時の自分の環境にピンと来ておらずに手を出していませんでした。あれから数年たち、気づけばコンサルタントや研修講師としてワークショップを行ったり議論の場のファシリテーションを行うということもいつの間にか増えてきており、今こそ!と思いとても楽しみにしながら手に取りました。ワークショップを生業にしているたくさんの人達の言葉と、西村さんの思考が丁寧にちりばめられていて、読んでいて非常に心地よい本でした。一度で消化できるような内容ではないのですが、それでも心地よかった。それはたぶん、ワークショップという場やファシリテーションというのが本質的に人に興味を持ち、尊重しようとする姿勢を大事にするからであり、本書に登場する方たちからはみなその本質を感じるからだと思います。人と関わるということを自分なりにどう捉えていくのかは今年も引き続き、実践しながらも考えていきたいテーマで、いまはエドガー・シャインの『人を助けるとはどういうことか』を読んでいます。「かかわる」ということについて考えるきっかけとなる本たちについても改めてまとめて考えてみたいなと思います。


星を継ぐもの

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

 SFに入門しはじめてこれまでに何冊か読んできました。クラークだったり、ハインラインだったりと有名所からポツポツ読みはじめる中でたどり着いたのがホーガンのこのシリーズ。『ガニメデの優しい巨人』『巨人たちの星』『内なる宇宙』と前作読み、シリーズを通して面白かったのですが、第1作目である『星を継ぐもの』の面白さは圧倒的でした。「面白い小説読んだなぁ」という気持ちの良い読後感を久しぶりに強烈に感じた本でした。前に読んだSFがハインラインの『夏への扉』で、あれもとても面白かったのですが、やはりハードSFと呼ばれるだけあった『星を継ぐもの』は裏付けとなる技術や知識に対する書き込みや構成が非常に読み応えがあり、全編を通して徐々に解かれていく謎にただただもう興奮するばかりでした。2作目以降は1作目を超える謎解きのドキドキ感はなかったものの、それぞれの主題となるテーマ(遺伝子学や仮想現実など)はとても面白く、ホーガンの他作品も読みたくなりました。


アルケミスト 

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

 

 世界中で読まれているお話。「自分の直感に従って生きる」とはどういうことか、「夢に生きられなくなる」とはどういうことかということを教えてくれるお話です。本記事で紹介されている本たちを振り返ると、社会の変化は引き続きどころかますます世知辛くなる中で、どんな風に働いていけば良いのかということを否が応でも考えねばならないようです。そんなことに向き合うときに背中を押してくれるのは小説であり、お話であるという方も少なくないのかなと思います。私はそうです。人生の節目節目で大切な小説に出会ってきましたが、きっと本書は世界中でたくさんの大切な役割を果たしてきたんだろうなと感じる力強さと優しさを感じる本でした。子どもも読める童話的な本ですが、むしろ大人が読んだほうが良いのではないかと思います。

 

以上です。

少しでも誰かの読書を幸せな時間にすることにつながれば幸いです。

 

さぁ今年もたくさん読むぞー!

つくば市で「子育てde国際交流 in Ibaraki」に参加してきました

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本日はつくば市役所で開催された「子育てde国際交流 in Ibaraki」というイベントに出席してきました。

 

このイベントはつくば市NPO法人kosodateはぐはぐが主催するもので、kosodateはぐはぐが事業として実施しているホームスタートというイギリス発祥の家庭訪問型の子育て支援活動のグローバルイベントの一貫です。kosodateはぐはぐさんを少しご支援させていただいた縁で招待いただきました。本当にありがとうござました。

 

 

イベントの中身

  1. kosodateはぐはぐ代表前島さんからの挨拶、つくば市長挨拶
  2. イギリスとスリランカホームスタート活動の代表からそれぞれの国の子育てに関する状況と活動の様子の紹介
  3. つくば市保健師の方からつくばの子育て環境についてのお話
  4. つくばで子育て中の外国人ママからのお話(スリランカ、イタリア、チェコから)
  5. 会場からの質疑応答を交えてのディスカッション
  6. 会場を変えて市役所内レストランで軽食をいただきながら交流会

と盛り沢山な内容でした。

 

詳細はこちら。(Facebook

子育てde国際交流 in Ibaraki

 

ホームスタートは日本全国でも地域の事情に合わせた活動をしていることが特徴と聞いていましたが、グローバルな活動はなおさらですね。国によって子育て中の親子が直面する課題も、マクロレベルで国が課題としている指標も違ったりするので、それを受けての活動も色々のようです。

 

ホームスタートジャパンのHPはこちら。

www.homestartjapan.org

 

つくばでホームスタート活動をしているkosodateはぐはぐのHPはこちら。

www.geocities.jp

 

イギリスとスリランカの話

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イギリス

イギリスは出生率が人口維持水準より低い1.81であることや、出産年齢が上がってきている(30.4歳)こと、核家族化が進み子育て中の親が孤立しがちであることなど日本の子育ての環境と似ているところも多いようです。

 

日本と異なる点としては、新生児の28.2%が英国以外で生まれた母親による出産(つまり外国人ママ)であり、過去最高を更新してまだ伸びているという状況にあること。

 

この状況の中でホームスタート活動として言葉の壁を感じている親をいかに支えるかということは非常に大事なポイントになっているようです。

 

また、家庭訪問型の子育て支援であるホームスタートは元々出産後のサポートとして始まっていますが、近年の学術的な研究の結果を受けて、妊娠期からの支援に幅を広げていたり特に乳児期までの愛着という面を重視したサポートに力を入れていること、妊娠前や学齢期などホームスタートのカバー範囲の「前後の期間」をサポートする各プレーヤーとの連携、あるいは同じ期間でも他のプロフェッショナルとの連携などをとても意識された活動をしている点は非常に先進的で、さすが発祥の地といったところでした。

 

スリランカ

スリランカは日本やイギリスとは異なり、人口が維持から増えていくという水準にある国です。現在約2200万人の人口が2031年には2300万人になりさらに伸びていくという見込みとのことなので、すごい勢いです。これに伴い、課題として単純にホームスタート活動としての人員その他のリソースが足りなくなるという点を挙げていました。

 

ホームスタート活動の特徴としては国の行政との連携がかなり強固であるということ。子育て支援については出産前の時期から、カップルのためのケア→妊娠前ケア→妊婦ケア→分娩時のケア→出産後のケア→家族計画とリプロダクティブ・ヘルス→カップルのためのケア、と一連の支援がサイクルとして意識した設計がされている点はなるほどと思いました。一方で母子の栄養状態や安全でない妊娠中絶についてが課題に上がっていたり、国の指標として妊娠死亡率の減少が掲げられているなど公衆衛生面の話題が多かったことも印象的でした。

 

「話を聞く」のが一番大事

国の状況により様々なホームスタート活動ですが、それでもいちばん大事な要素は共通しているという点もイベントを通じて感じました。それは「話を聞く」ということ。

 

イギリスの代表の方が繰り返し繰り返し「Listening」とおっしゃられていたことはとても印象的でした。

 

わずかな時間だとしても話をする相手がいるということ、話を聞いてくれる存在がいるということはとても大切なことです。これは子育て支援だけでなく他の対人支援分野についても言えることです。

 

私は児童養護施設での学習支援ボランティアをやってきましたが、その活動において例え1週間に一度たったの1時間だとしても「自分だけの話を聞きにきてくれる人がいる」ということがなかなか大人を独り占めできない施設の子どもたちにとっていかに勇気づけられることであるかを感じていました。特に孤立して子育てという困難なことをしている親にとってホームスタートの活動というのはそういう心の支えになりうる時間なのだと思います。

 

つくばで子育てをする外国人ママの話とディスカッション

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後半の市内の外国人ママによる実体験と会場を交えてのディスカッションも面白かったです。

 

つくばや日本で出産や子育てをする中で感じたこと、受けた支援、困難だと感じていることなどざっくばらんな話が語られていました。

 

市内で子育て中の親によるピアサポートの活動を運営されているという方から「英語は充分でないかもしれないけれど、そして一時的なものになるかもしれないけれど、それでも子育て中の母親が集まれるよという場所があったとしたらそれは役に立つか?また、それはどのような場所に発信すれば伝わるか?」という質問に対して、「集まれる場所はありがたい。ただ、支援がなくて困っているのは母親だけではなく、10代以上で日本語が苦手な子どもも居場所がないので彼ら彼女らの居場所もあると有り難い」という声や、「つくばにも外国人の親たちによるFacebookグループがありそこで情報交換はされている。困っていることは集まる場所や講師がないこと」という会話がなされていました。

 

比較的外国人が多いつくばですら支援が足りていない状況なので、日本全体で考えるとまだまだ厳しそうですね。

 

外国人の親が増えているイギリスの代表からは「外国人ママたち自身がボランティアとしてホームスタート活動に参加していくことが重要」という先をいく先輩国としてのアドバイスもありました。

 

 

 

元々私が現在のNPO支援のコンサルタントという仕事にたどり着いたはっきりとしたきっかけは大学のころの児童養護施設でのボランティア活動やボランティアコーディネート活動ですし、私のそうした活動の舞台であったのはつくば市です。今回こうしてつくばのNPOに関わる機会をいただいたことやつくばの地で個人的に思い入れの深い子育て支援の活動について改めて考えるきっかけをいただけたのは非常にありがたいことでした。

 

代表の前島さんを始め運営の皆さま本当にお疲れ様でした!

レビュー:『ルポ 児童相談所』熱さを丁寧な取材に込めた真摯なルポルタージュ

金融のプロとして働く傍らNPO法人Living in Peaceを設立し日本の社会的養護下の子ども支援活動をしている慎さんによる著作。
国内の子ども支援関係者にはぜひとも読んで欲しい一冊です。
 

 丁寧で、真摯で、冷静な取材姿勢

本書は著者である慎さん自身が全国約十ヶ所の児童相談所を訪問し、100人以上の関係者インタビューを実施し、さらには二つの一時保護所に住み込みをして書かれた本です。慎さんは以前に児童養護施設でも住み込みを行っています。取材対象を理解するには自分自身がその環境に身を置くべきというのは言葉で言うのはとても簡単ですし、納得度も高いですが、それを実行に移すのはなかなかできることではありません。丁寧で真摯な姿勢にいつも頭が下がります。
 
本書ではもちろん定量的な調査データも使用されていますが、福祉等の対人支援の問題というのはデータには表れにくい難しさや深刻さがある分野ですので貴重な本です。
 
ルポルタージュという分野は著者がどれだけその取材対象にどっぷり浸かるかが面白さに関わってくると思っているのですが、その意味でこの本の取材姿勢はすごい。
そして重ねてすごいのはその「浸かり具合」自体は文章には表れておらず、非常に冷静な第三者の視点を貫いた上で語られていること。この辺りのバランス感覚も素晴らしい。
 
ちなみに、どっぷり浸ることは良いルポの条件だと思っていますが、その一方で書きぶりを冷静に書くことについてはそれだけが方法というわけではないとも思っています。私が福祉分野のルポルタージュで素晴らしい作品だと思っている『こんな夜更けにバナナかよ』も、自分自身が介助のボランティアグループの一員にも入りながら取材していた力作でしたが、『夜バナ』の語り口は第三者視点とは真逆のものです。著者自身がいちボランティアとして、取材者として見聞きしたものへの「戸惑い」や「悩み」「苦しさ」などを隠さずに表明している本で、その吐露自体が素晴らしい傑作です。
(『こんな夜更けにバナナかよ』については以前にレビューを書いていますので良かったらご覧ください)

 

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本書では『夜バナ』のような慎さん自身の「想いの吐露」のようなものはあまり強くは表されません。もちろん「個人的な見解」として慎さん自身の考えや感想は多く書かれていますが、その視線はあくまで冷静であるように感じます。それは慎さん自身のキャラクターもあるのかもしれませんが、ある程度意図的にコントロールされた書きぶりなのではないかと思っています。
 
本書のテーマである「児童相談所」というのは「叩かれやすい」立場にあります。
 
児童虐待の件数が増える中で、残念ながら子どもが死亡するケースも後を絶ちません。
そしてその中には、「児童相談所には相談されていたのに児童相談所側に深刻なケースと受け止めておらず見落とされたとされるケース」や、「児童相談所の勤務体制が過酷なものとなっているために対応しきれなかったケース」などが報道されることも少なくありません。
 
児童虐待という問題は、簡単にその原因を特定することができません。
虐待をしてしまう親の背景には、様々な社会課題が複雑に絡まり合っています。
そうした中で児童相談所はある意味分かりやすく責任を追求しやすい存在になってしまいやすいのではないかと思います。
 
児童相談所は虐待等の問題の「発生後」に対応をしている機関であり、十分に、そして適切に対応されていたとしても虐待の根絶自体とはまた別問題であるにも関わらず、そのような傾向が少なからずあるのではないかと感じています。
 
帯に力強く「告発では、解決しない」と書かれている本書からはそのような風潮にも一石を投じる強い意思を感じます。
(ちなみに児童相談所に関する書籍を探すと同じく新書で『告発』と冠した本が見つかるのですが、そちらに向けてのメッセージでもあるのでしょうか。帯のキャッチ誰が書いたものか分からないですけど)
 

児童相談所とはどんな場所か」は業界関係者ですら知らない

 さて。本書が児童相談所を冷静な視点で語るということが貴重なアプローチであることを指摘しましたが、世間一般で児童虐待関連に興味を持っている人に限らず、児童相談所は子ども支援の分野で活動している業界関係者ですら知らない人が多いといえます。
 
私自身、子ども支援の分野である程度活動をしてきた一人です。
児童養護施設に学生時代に4年間ボランティアとして関わり、そのうち3年間はその施設の非常勤の職員としても働いていました。その後社会人になってからも4年ほどNPOの活動で児童養護施設に関わり、複数の施設でのボランティア活動に関わりました。
また、学生時代には児童養護施設でのボランティアの他、ボランティアコーディネーターとしても活動をしており、子ども支援、子育て支援(親支援)、教育分野など関連する分野には直接・間接様々に関わってきました。
そして、今現在はNPOコンサルタントとして働いており、子ども支援関連の団体の支援をすることもあります。
 
こうした活動歴を持っていても、児童相談所のことはほとんど知りません。
私自身の業界への関わりが十分なものなのか、という点は難しいですが、児童相談所について知らない子ども支援業界関係者は少なくないと感じています。
 
児童相談所についてはそれぐらい情報がありません。
ですので、この本は業界関係者にとっても貴重な一冊であるといえます。
 

良い一時保護所と悪い一時保護所

前述の通り非常に冷静で丁寧な書きぶりの本書ですが、複数の児童相談所に取材した結果分かったこととして、児童相談所には「良い一時保護所と悪い一時保護所がある」と断じています。
その違いはあまりに大きい。少し引用させていただきましょう。
 
良い一時保護所では、良い学習支援員を採用しています。最も多く、かつうまくいっているケースは、引退したベテラン教員を採用して、その人が子どもの学力に合わせてかなり細やかに問題を準備していました。学校の学習環境には劣るものの、最大限の努力がなされています。
 
抑圧的な一時保護所では、人間は教育と養育によって成長するという認識が欠けているような気がしてなりません。前者を担う組織の代表格は学校、後者のそれは家庭です。学校などの教育現場においては、規律に基づいたある程度強権的な制度があり、子どもたちはそれに従うことを学びます。これはこれで重要なことで、規律を遵守するという思考回路がこの時期に成立していないと、その後の社会生活では様々な苦労をするからです。また同時に、この規律お中で子どもたちは学習をし、知識を得ていきます、ハードとソフトという区分けをするのならば、教育は子どもの成長に置いて、ハードの側面であるということができるでしょう。一方でソフトの側面を担当するのが養育です。養育は多くの場合家庭において行われ、そこは規律よりは自由、命令よりは受容が重視される場所です。(多少のしつけというものがされてはいるものの、養育環境においては基本的に子どもを受け入れる大人の存在があり、その中で子どもが愛着関係を築き、自己肯定感を育んでいく事になります、ドストエフスキーが最後の大作である『カラマーゾフの兄弟』において、「誰かに大切にされた経験はどんなに辛いことでも生き抜く力になる」といったことを書いていますが、まさにこれを言い当てています。)教育と養育は子どもの成長における両輪であり両者がバランス良く存在してこそ、人は本当の意味で成長をします、しかし、抑圧的な一時保護所では、生活のすべてが規律によってコントロールされており、教育はあっても養育の観点は感じられません。そこでは子どもが安心を感じることはできないのではないかと思います。
 
私は児童養護施設での学習支援に携わってきましたが、児童養護施設にいる子どもたちの多くは学習遅れの状態にあります。
ほとんどの子どもが自分の学年からマイナス1〜3学年は当たり前で、中学生や高校生の年齢であってもかけ算九九ができない、ということも残念ながら珍しくありません。
 
施設にいる子どもたちの多くが学習遅れになってしまう最大の原因はもちろん困難な家庭環境にあります。
学校に通うことが十分にはできていなかったり、ひどい場合には生きる死ぬといった環境にいて、文字通りの意味で勉強どころではなかったという子どもたちが多い。
ただ、遅れを発生させてしまう原因は家庭での養育の不十分さだけではありません。
 
子どもが保護された場合に最初に行くのが児童相談所内にある一時保護所です。子どもが家庭に復帰することができるのか、できないのであればどこでその子を養育するのかそうしたことを関係諸機関や親等が協議している間に一時的に子どもを保護する場所です。「一時的に」とはいっても、長い場合この期間は数ヶ月に及びます。また、この一時保護所にいる期間は外出が原則的に禁止され、当然学校にも通うことができません。親から強制的に隔離して保護している場合もあるため、子どもの安全を守るというのがその理由です。
 
そして措置が決り、施設への入所や里親家庭へ行ってからやっと学校に通うことができますが、ほとんどの場合転校を伴います。数カ月ぶりに行ける学校は全く知らない場所であり、学習進度もズレてしまいます。過酷な環境から開放された子どもたちがそのような環境で自律的な学習意欲のみで遅れを取り戻すというのはなかなか無理がありますし、学校現場も、そして施設も多忙を極める中で一人ひとりの子どもの学習遅れに適切なサポートをすることは難しいのが現状です。
 
こうして、一時保護所を経て措置された子どもたちの多くが、(保護前には比較的学校に通えていたとしても)構造的に学習遅れが発生しやすい状況にある、というのが現在の日本の社会的養護の実際です。
 
このように構造的にはある程度の理解をしていましたが、本作を読んで一時保護所での状況にここまでの差があることに改めて考えさせられました。
 
では、なぜこのような格差が生まれるのか。慎さんは規律的な一時保護所ができあがる理由について3点挙げています。
 
  1.  一時保護所には、非行、被虐待、精神障害の三種類の子どもが入ってくること
  2.  職員数の少なさ
  3.  そもそも職員が子どもの状況について想像力を持っていない場合が多いこと
 
職員の数が少ない中で、多種多様な事情を抱えた様々な状況の子どもが入ってくるために管理的な要素が強くなりやすい、ということは理解はできます。ただ、では十分に対応ができるだけの職員数を確保すれば良いのかというと3点目の理由が厳しいですね。
 
職員はいつでも外に出ることができ、一時保護所にいる時間は生活の一部でしかないのに対し、子どもは寝ても覚めても一時保護所内でのみ時間を過ごしているという点と、職員はルールをつくり遵守させる立場にあるのに対し、子どもはそれに従う立場であるという点に代表されます。
 
看守と囚人の役割を与えるとその役割に沿った行動をしてしまうというスタンフォード監獄実験を連想してしまうのは行きすぎでしょうか。
この3点目に対する施策として児童相談所に勤める職員は研修として3週間程度子どもたちと同じ生活を送ってみるということを提案しているのが、慎さんらしい。自身が児童養護施設児童相談所での職員としての泊まり込み取材をしているため説得力のある提案です。
 

子どもの権利を第一に

うまく行っている施設もうまくいっていない施設も取材し、そしてうまくいっていない原因についての考察も行った上で、最後のまとめとして現実的に一時保護所を改善していくためにどうすれば良いのかいくつかの方策を提案されています。
ここでは個人的に特に気になった提案を3つ紹介いたします。
 

①一時保護委託を増やす

児童相談所内の一時保護所で子どもを預かるのではなく、なるべく地域の中で子どもを預かれるようにすべきだという提案
 
児童養護施設や里親家庭などへ一時保護を委託することで、児童相談所内の一時保護所で必要以上の規律の中で子どもたちを管理する必要がなくなります。また、一時保護所にいく子どもたちは現状「神かくし」と言われる状態になってしまうことが少なからずあり、その問題を解消することもできます。
 
どういうことかというと、虐待等が通告され、家庭から保護された場合に、そのまま一時保護に入り、措置が決定するまで(場合によっては数ヶ月)外出ができなくなってしまいます。
 
前述の通り親から強制的に保護している場合もあり、子どもの安全のためという名目はありますが、近所の人や友だちや学校にも挨拶することもできないまま環境から切り離されてしまい、地域の側からすれば子どもがある日突然神かくしのように消えてしまうというような事態が発生していまし、保護児童としてもその状態のまま見知らぬ場所での生活を始めなくてはいけないということは必要以上に精神的な負担を強いていることでもあります。
 
こうした措置は子どもたちの意志や権利を尊重したものとはいえず改善すべきである、というのが慎さんの提案であり私も同感です。
 
地域内の施設や里親家庭に一時保護を委託することができれば、そこから学校に通うことができ、子どもに愛を持って接する養育環境としても環境が整っているといえます。(児童養護施設についてはまだまだなところもありますが)
 
また、児童の親の立場を考えても、子どもが急にいなくなってしまえば「あの家は子どもを児相にとられた」と地域内でのスティグマにつながってしまう可能性もありますが、地域内での一時保護委託が可能になると子どもは地域内である程度それまで通りの生活をすることができ、「子育てが一時的にキツい」という状況をより柔らかく伝えていくことができるのではないか、と慎さんはいいます。地域内で実際にどのように受け止められるかというのは実際には地域の事情にもよるのだろうと思いますが、少なくとも私が知っている複数の児童養護施設が一時保護委託先になった場合を考えると、十分に可能性はあると感じます。児童養護施設の中には地域の子育て支援センターを併設している施設もあり、子育て支援という文脈で施設と地域が関係を構築できている場合もあるからです。
 

②子ども支援の各セクターの連携

2点目に挙げられるのが子ども支援の各センターの連携です。特に一時保護委託先となる施設と児童相談所の連携について、本書では鳥取県内の事例が紹介されています。
 
鳥取こども学園では、児童相談所の所長経験者らが職員となって働いており、そのために児童相談所ととても強い関係性をもって一時保護委託を実施しています。園内には一時保護委託に特化した部門が存在しており、一時保護期間が長くなりそうな子どもいついては、鳥取子ども学園で保護するという機運がたっています。
 
特定のケースについて各セクターで情報共有を密にすることで連携がスムーズになるという事例は子ども支援の現場だけでなく、学校教育、高齢者福祉や医療等他の分野でも聞く話です。例えば学校内の職員間で子どもの授業態度や生活態度のケース共有を行うことで、学習遅れやその他の子どもたちの変化に早急に対応することができ、学力の向上や不登校の減少などにつながったという事例もあります。複数の関係者が事情を把握しておくことは、急な変化にも適切にフォローをし合うことにもつながります。もちろん、なかなかそれが簡単なことではないからこそ、良い事例としてニュースになるという側面もあると思いますが、紹介されている鳥取の事例のように児童相談所の所長経験者の活用など、ベテラン・シニア人材の知見を活用して全体をよりスムーズになるように考えていく、という方向性は今後特に対人支援に関わるさまざまな分野で必要になると感じます。
 

③外部監査の必要性

最後の一つが外部からの視点を取り入れるということです。良い対応を行うことができていない施設がなぜそのような状況が常態化してしまっているのかという点に対する慎さんの回答がこの外部監査です。
 
児童相談所に限らず行政組織一般に地域間格差が生まれやすい背景として、外部の目によるチェック体制が少ないことや、ガバナンスの弱さ(ここでいうガバナンスとはパフォーマンスを適切に発揮しない人材を罷免する力のこと)を指摘しており、適切な情報公開をすることや、②の各セクターとの連携とも合わせて児童相談所だけに子どもの問題を一極集中させないことが必要であるとしています。
 
適切な権限や専門性を持った組織の必要性に異論はありませんが、一極集中させることが外部の目の届きにくさにもつながっていくという指摘はまさにその通りであると思います。
 
 
慎さんの提案を見ていて感じるのは日本のソーシャルセクターでも最近よくいわれるようになってきた「コレクティブインパクト(集合的な課題解決)」の重要性です。
ただ、コレクティブインパクトというのは簡単なことではありません。
慎さんの現実的で前向きな提案を見て改めて、しっかりとしたコレクティブインパクトが1個1個丁寧に作られていく必要があると感じました。
 
かなり長くなりましたが、以上『ルポ児童相談所』の書評でした。
 
ちなみに。子どもの問題は社会的養護という範囲だけでも本書のテーマである児童相談所にとどまりません。
著者である慎さんが以前書いた記事がすばらしくまとまった記事を書いていらっしゃるので興味をお持ちの方はぜひお読みください。
 
また、慎さんのその他の著作もオススメしたいものが多いです。ここでは本書のテーマに関連する本として2冊をご紹介。 
働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む

働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む

 

児童養護施設に住み込んだときの話はこちらの本に書かれています。プロボノやボランティアとしてNPOに関わることを考えている方にオススメです。

 

未来が変わる働き方 (U25 SURVIVAL MANUAL SERIES)

未来が変わる働き方 (U25 SURVIVAL MANUAL SERIES)

 

こちらもプロボノに関する本です。プロボノ希望の方にもおススメしますが、プロボノからの支援を求めたいと考えているNPOの方にもぜひ読んで欲しい。プロボノマネジメントについて考えるヒントが詰まっています。

  

 

LIFE SHIFT時代のニッポンについて考える本 − 『LIFE SHIFT』について語るときに僕の語る本 ④

『LIFE SHIFT』について考える記事第4弾。いったんこれで最終回です。
 
第1弾 

第2弾

第3弾

 
第1弾で『LIFE SHIFT』について要約を行った上で、第2弾では「マルチステージの人生」を考えるための前提となる「働くこと」について考えるヒントとなる本を、第3弾では働き続けるために不可欠だが盲目的に働くことで損なわれてしまう可能性のある「活力資産」を貯める生活とはどんなものかを考える本を、それぞれ紹介しました。
 
これまでの記事では個人の視点から『LIFE SHIFT』について考えたいポイントについて述べてきました。第4弾となる本記事では少し視点を変え、『LIFE SHIFT』時代の日本社会とはどういうものか、私たちが人生100年を生きる社会の姿を考えるためのヒントになりそうな本について考えてみたいと思います。
 

『LIFE SHIFT』は万人に向けた本だろうか?

個人的には『LIFE SHIFT』で語られることは自分自身がすでに実感していたこととも近く、腑に落ちる本でした。「人生100年」がすべての人に訪れるわけでないとしても、少なくとも「働く期間の長期化」は起こってくるでしょうから、なるべく多くの人に読んで欲しいと感じています。
 
ただ、一方で本書全体に対して感じる違和感というか、冷めた視点も同時に持っています。身も蓋もない言い方をしてしまえば『LIFE SHIFT』は「意識高い系」の本です。
 
「意識高い系」という言葉はまったく好きではありませんが、ポートフォリオ・ワーカーとかインディペンデント・プロデューサーとか言われても「そんなのはできる人だけの話だ」と冷笑とともに切り捨てられてしまったり、場合によっては反発や対立を引き起こしてしまう危うさもあると感じています。
 
また、対立以前の問題として、そもそも『LIFE SHIFT』が警鐘を鳴らすような社会環境の変化に関心を示さないとか、理解できない層もありえます。
 
商品購入やサービス利用に関する態度のスピードについて考察するイノベーター理論では、最も革新的なイノベーターから最も保守的なラガードまでの5分類が正規分布に近い形で分布している図がよく用いられており、普及の鍵をにぎるのは2番目に感度の高いアーリーアダプター層までのおよそ16%をつかまえることができるかどうかだ、とされています。
 
もし、社会状況の変化やそれに対する意識の変化についても同じような分布図があったとして、その分布は果たして正規分布になるのでしょうか。
また、アーリーアダプターは一体何%居て、その層に普及するだけでマジョリティまで広がっていくのでしょうか。
 
「意識高い系」の本である『LIFE SHIFT』は基本的にアーリーアダプターまでに訴える本だと感じています。
その後の普及は、『LIFE SHIFT』を読んだ層の実践を通してその周囲に徐々に普及していくものなのでしょうか。
 
そのスピードと影響力は、公的年金制度の崩壊や労働市場の変革など、既存の社会ルールが壊れていくスピードと比べてどちらが早いのでしょうか。
アーリーアダプター層の実践がさらなる層への普及にもしつながらないとしたら、『LIFE SHIFT』は社会のさらなる分断へとつながるのではないだろうか。
 
個人的な姿勢として『LIFE SHIFT』に感銘を受けながらも、こうした疑問は次から次へと出てきました。
 
例えば、『LIFE SHIFT』では変革を社会が受け入れていくために多くの若者の社会参加や政治参加が必要だとしていますが、それは現実的にはどのように可能でしょうか。
私自身普段NPO支援という仕事をしていて、社会参加や政治参加というものを間接的に促す立場いますが、「参加態度・意識の低い人の参加をどのように促すのか」というのは現場で頻繁に聞かれる切実な問題です。ただ、少なくともそこに明確な絶対解のようなものはないように感じています。もちろん分野や問題により成功している事例はありますが、万能の方程式で解ける範囲は広くはなく、あくまで個別最適解を探していく必要がある、というのが難しいところです。(だからこそ「自治」というものの必要性や面白みがある、ということも感じますが)
 
こうして「社会」について思考を飛ばしたときに出てくる答えの出ない問題に対して、それでも行動をしながら考え続けてきたのが第1弾の記事で書いた通り私のこれまでの道のりだったと思いますし、きっとこれからもそうして行くのだと思います。
 
以下で紹介するのは個人的に考えたり行動をする上でのとっかかりになると感じている本や資料です。本記事では特に今後の日本社会について考えるという観点から2つ選んでみました。
 

日本社会の今後について考えるきっかけに

経済産業省の「次官・若手プロジェクト」によって出された提言書です。
 
この65ページにわたるスライド資料が非常に話題になり、勉強会やワークショップなども催されています。
 
おそらくですが『LIFE SHIFT』も念頭に置かれており、人生100年時代というキーワードは随所に使われています。内容としては今後の日本社会の変化に対して様々なデータを引きながら解説するというもので、結論としてどうすべきかという点では以下三点にまとめています。
 
  1. 一律に年齢で「高齢者=弱者」とみなす社会保障をやめ、 働ける限り貢献する社会へ
  2. 子どもや教育への投資を財政における最優先課題に
  3. 「公」の課題を全て官が担うのではなく、意欲と能力ある個人が担い手に (公共事業・サイバー空間対策など)
 
全体で言われていること自体はそれほど新しい内容ではないという批判もあるようですが、経産省の「若手」による「自主プロジェクト」というあたりや、その打ち出し方は新しく、各方面で議論が巻き起こっている点も面白いですし、経産省の若手有志という方たちがどのように考えているのかという点もなかなか興味深いです。
 
この資料が結論としているのはつまりはどういうことを言っているのでしょうか。①や②はイメージのしやすい具体例であって、全体の方向性として③だよ!というのが言いたいのかな、というのが本資料を読んで感じたところです。
 
私自身NPO支援を仕事にしており「共助」の部分を厚くしていくということには方向性として賛成ですが「意欲と能力ある個人が担い手」になれるよう促すことは当然として、それにより国家は「公」の課題の重圧から逃れるということはないのであり、「民」や「共」をその言い訳や脅しのようにもし使ってしまっているとしたら怖いことです。(本資料がそこら辺どの程度意識しているのか資料からだけでは読み取れませんが)
 
本来議論すべきは「公」として「どこまでが国が守るべきラインなのか」について議論するということであると考えます。だとすると、こうしたプロジェクトに本来期待したいのはその部分についての国民議論を促すことだと思うのですが、やや炎上気味の反応も含めて受け止められていることで作者たちの思惑は達成しているのかな。どうなんでしょう。
 
少なくとも、リアルでの勉強会にまで一定のスピードで広がっていることや、本プロジェクトのFacebookページが立ち上げられ情報発信が続けられていることは価値あることと思います。
 
ちなみに。本資料をどう読み解くのか、議論すべき選択肢はどのようなものなのか、という点に関しては社会学者の鈴木謙介氏のブログ記事が分かりやすかったです。
 

 
 
続いて2冊目。
『縮小ニッポンの衝撃』
縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)

縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)

 

 

昨年HHKで放送された同タイトルの番組を書籍化したものです。昨年の放送もかなり話題になっていましたが、その意欲的な内容にさらに追加取材を行ってまとめた一冊。強烈な内容に仕上がっています。
 
少子高齢化というキーワードは日本国民であればもはや聞き慣れた言葉となっていますが、それが進展するといったいどんな社会になって何がどう問題になるのか、具体的にイメージできる人はほとんどいないのではないでしょうか。
 
本書は、そのイメージをいくつかの自治体への取材を通して具体的にあぶり出すことを目的としています。本来はその処方箋まで描きたかったが、無理だったとエピローグに書かれていますが、そうしたネガティブな状況が日本全国どこにいても押し寄せてくるということを明確に示すために、一貫してネガティブな示し方に徹しているような印象も受けます。
 
ネガディブ・ポジティブの印象はともかくとして、少なくとも取材先である地域にとってはそれはすでに目の前に訪れている現実ですし、数字データと事例の合わせ技で語られる「縮小ニッポン」の姿は間近に迫ったこのままでは確実に訪れる将来の姿です。200ページ弱の本で一気に読ませる勢いがありますが、読んでいるうちに苦しくなりました。
 
『LIFE SHIFT』の著者であるリンダ・グラットンは「超長寿化」をLIFE SHIFT時代の前提だとしていましたが、超長寿を恩恵として受け取るためには個人として健康であり続けねばなりませんし、社会全体としての超高齢社会は社会にとっての負担増であることはこのままいけば厳然とした事実になります。行政サービスが縮小するということが私たち市民の生活をどのように変えるのか、すでに変わっているのか、まずは知り、想像してみることは大事な一歩だと思います。
 
そして、上述の経産省の若手ペーパーでも志向される「個による助け合い」の未来像がこの「縮小ニッポン」であるかもしれないという事実をどう受け止めれば良いでしょうか。LIFE SHIFT時代のマルチステージの人生を歩んでいくために「自分は何者か」というアイデンティティを明確にしておくことが必要だとされていましたが、視点を社会の側にも少し広げて「社会の中で自分は何者でありたいか」という点こそが考えるべき問いなのではないかなと感じています。
 
 
さて、以上で一旦終わりです。
 
 
社会について考えるためにも、自分について考えるためにも、色々と行動をして自分の目で見聞きすることが何よりですが、まずは本を読んで考えてみるというのも大切なことかと思いますので、今回の一連の記事で誰かの参考になる部分があれば幸いです。
 
ちなみに今回4記事にまとめましたが、他にもいくつか考えている視点がありました。いま読みながらあれこれ考えているのは、「小説からLIFE SHIFTを考えてみる」と「政治理論からLIFE SHIFTを考えてみる」ということ。小説の方は、「『地下室の手記』と『LIFE SHIFT』」で考えているのが個人的になかなか面白いなと思っているのですが、『地下室の手記』が全然消化しきれなくて文章にまとめられませんでした。政治理論の方は、新しく本を読んだり、大学時代に読んだ本を読み返したりしています。この辺りもまた少し考えが整理されたら文章にしてみたいと思います。
 
また、社会の変化というマクロ視点については今回は日本の文脈から考えましたが、世界全体の方から考えるというのも面白そうですし、技術の革新という方向から社会の変化を考えてみるというのも面白いと思っています。
 
ということで、特に全体を通してのまとめがあるわけではありません。
まだ考えながらの日々です。
 
縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)

縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)